- 日時: 2022年(令和4年)2月21日(月) 15:00–16:40
- 場所: オンライン
- 出席会員:
- アインズ株式会社
- 近江ディアイ株式会社
- キステム株式会社
- 滋賀銀行
- 株式会社ナユタ
- 株式会社ドコモCS関西
- 日本ソフト開発株式会社
- RichForward株式会社
- 株式会社HONKI
- 野村総合研究所
- 大津市
- 彦根市
- 長浜市
- 守山市
- 栗東市
- 甲賀市
- 湖南市
- 東近江市
- 米原市
- 多賀町
- 滋賀県立大学
- 滋賀県
- 議題:
- 今年度の部会取組結果について
- 来年度の部会実施内容について
1. 今年度の部会取組結果について
今年度のICT利活用検討部会では、
- 観光・交通・健康データ利活用検討ワーキンググループ
- オープンデータ推進ワーキンググループ
の2つのワーキンググループに分かれて調査研究を行ってきましたが、最初にそれぞれの主査から、取組結果についての報告が行われました。
観光・交通・健康データ利活用検討ワーキンググループからの取組報告
最初に筒井主査から、観光・交通・健康データ利活用検討ワーキンググループの取組結果について、以下のとおり報告がありました。
今年度は「健康」をテーマに、令和4年度末までの取組として実施している。
令和3年9月3日にWGの会合を開催し、方向性を確認。事務局の調整により、以下のデータを活用することとした。
・株式会社平和堂様の購買データ
・株式会社タニタヘルスリンク様の体組成データ
・滋賀県保険者協議会様の健診データ
・大塚製薬株式会社様の栄養素データ
なお、大塚製薬株式会社様の栄養素データについては、大塚製薬様の「サプリメントチェック」を用いてデータ収集から始めることとしている。
その後、複数回にわたってデータ提供者と分析希望者との打合せを実施し、データ構成や規模など、分析希望者の意図に合うデータ提供を行えるか調整してきた。その結果、各データに対して、それぞれ以下の会員数・テーマ数で分析に取り組むことになった。
・購買データ:4会員5テーマ
・体組成データ:1会員1テーマ
・健診データ:5会員5テーマ
・栄養素データ:1会員1テーマ
また、実際のデータ分析希望者に提供する段階で、想定以上に大容量となったデータの共有方法や、個人情報保護の取扱い等、諸々の調整によってデータ提供に時間を要したが、そのプロセスを通じて、昨年度扱った観光・交通のテーマとは異なる課題が見えてきた。そのような課題を明確にして、対処の手法を構築することもこのワーキンググループのミッションであるので、来年度も引き続き積極的に取り組んでいきたい。
以上の内容について、部会員からの意見は特にありませんでした。
オープンデータ推進ワーキンググループからの取組報告
次に藤澤主査から、オープンデータ推進ワーキンググループの取組結果について、以下のとおり報告がありました。
このICT利活用検討部会は、そもそも当初オープンデータ推進をテーマに2014年度から設置された。当時はシビックテックといわれる手法を活用した「びわ湖大花火大会オープンデータ推進活用実証事業」など、オープンデータを提供・活用したいろんな取組事例を共有した。その他にも県内市町や企業等にニーズ調査を行いながら、県内で様々なオープンデータの提供が進んでいった。2016年度以降は、県内の実践から得られた省察や、事業連携の模索が行われた。
この7年間のオープンデータ推進に関する取組をしっかり振り返り、今後の各団体の取組に繋げて役立てていくために、今年度オープンデータ推進ワーキンググループが設置された。
当ワーキンググループでは、これまで行われてきた議論を二つの軸に整理した。
まず一つは「データ共有・連携のための『基盤』づくり」。データを持つ人たちの実務面から理解を深め、そのうえで、自治体間や自治体内での語彙・データモデルのルール化、作成・更新・管理等の過程で生じる問題の整理と解決、誰が基盤づくりの取りまとめを担うのか、という議論。
二つ目は「データ利活用のための『対話の場』づくり」。官民が互いに立場を尊重しながらアイデアを出し合う、アイデアソンやハッカソンなどといった場づくり、実際にデータを活用する人たちとの対話に関する議論。
この軸を踏まえて、8月から9月にかけて、実際に県内でオープンデータを提供したり活用している方からヒアリングを行った。それらの議論を踏まえて、11月のワーキンググループ会合では、以下の2点をオープンデータ推進で必要な姿勢として、素案をまとめた。
【データ所有者の責任や思いが尊重されること】:データ所有者自らの意思や責任、学びを尊重すること。共通フォーマットの検討においてはローカルルールを尊重するデータづくりを模索しあうこと。
【市民との対話・協働のうえにデータが提供されること】:データありきではなく、市民と行政とのフラットな対話を第一に、それぞれの思いからデータが流通されるようになること。使いやすいデータとは人によって様々であること。オープンデータを作らなければいけないという強迫観念によってデータ提供者の負担が増えないよう、対話起点のワークフローに変わること。
しかしこのまとめ方では行政目線が過ぎるという指摘を受けて、主に過去の議論に意見を出していただいていた部会員の皆さんと修正を図ってきた。そのうえで部会員の皆さんに、以下の取りまとめ案について諮りたい。
この案について、部会員からの反対意見はなく、この議事録をもって今年度の取りまとめとする旨、了承されました。
なお、この取りまとめ案や、オープンデータ推進に関するICT利活用検討部会のこれまでの活動について、部会員から以下の意見が出されました。
(企業)我々としては、自社で持っていないデータも継続的に活用して、ウェブサイトやアプリを構築できるようになることを期待しながら、この部会に参加してきた。これまで行政からの受託でアプリ開発をしてきたこともあるが、その開発を通じて行政から提供されたデータもオープンデータとして共有できるよう進められれば、さらに広がっていくと思う。
(自治体)オープンデータについては当然行政からどんどん提供していくべきだと考えており、出せるものは出していきたい。ただ民間でどのようなデータを必要としているのかは把握しきれていないことから、推進会議の場を通じて「こんなデータがほしい」という情報交換がしあえるようになると、自治体側の検討に繋がっていくと思う。
(企業)これまで県内では限られた人たちだけでしか物事が決まってこなかったと感じている。各々の「こうしたい」という思いを、視点を広く、もっと開かれた場で対話しあえるようになりたい。
そのうえで、滋賀県全体で描いた将来のビジョンを目的として、ステークホルダーと一緒にデータを提供しあうことが大事になると思う。
(企業)取りまとめ案の修正にあたっては、行政だけがデータを出すのではなく、県民や企業も立場を問わずオープンデータを出しあえるという余地を残させてもらった。
これまでの議論でも言われてきたことだが、市町でオープンデータの提供率をパーセンテージにして個数を競うような風潮はナンセンスだと考えている。地域に必要なデータを必要な形で出せる仕組みづくりのほうが重要だからだ。
生活のなかで感じる課題の裏付けとして、またその解決のツールとして、必要なデータを探しにいくというプロセスを大事にしたいという思いで、この部会に参加した。
(企業)2014年からこの部会に参加してきたが、今回の取りまとめにある「利用者のほしいデータと提供者の出せるデータの対話を重ね続ける」ということに、これまでの議論は集約されると考えている。
また、「誰かの負担をかけ続けることなくデータを提供する」という点も、この推進会議で議論してきた大きなテーマである。私は自治体向けベンダーの立場だが、自治体職員の「負担をかけ続ける」ことがないよう、持続性の視点を大事にしていきたい。
(自治体)取りまとめ案については非常に重要なことが記載されており、自治体としても有難いが、オープンデータの提供は各自治体で既に取組がなされ、運用管理規定を定める自治体もあるところ、この取りまとめは各自治体に対してどこまで影響をもつものなのかを確認したい。或いはこういう姿勢で臨むべきものであるという推奨事項という位置づけなのか。
(藤澤主査)今回出したものはあくまで滋賀県地域情報化推進会議という任意協議会としての取りまとめに過ぎず、各会員の活動に強制力を与えるものではなく、法的な性質を有するものでもない。この取りまとめを各会員がどのように活用するかは、各会員の自由としたい。
(自治体)当市では2015年度に市民との協働によるオープンデータ推進を模索した。当時は職員もオープンデータの理解が浅かったが、それ以降、失敗を重ねてコツコツやってきた。その実務のなかで見えた職員側の課題や、また地域との対話を重ねることでデータが活用されることについて、この推進会議を通じて共有しあってきた。
今回の取りまとめは行政を拘束するものではなく、推進会議でずっと行われてきたオープンデータ推進に関する自治体間や官民の対話を踏まえて、今後各々で新たに実践しあっていくための姿勢の確認だと理解している。
(自治体)この取りまとめはあくまで企業や行政どうしで一緒に取り組んでいくための方向性を確認するものとして理解している。これをベースに来年度以降も前向きに進めていけたらと考えている。
2. 来年度の部会実施内容について
次に事務局から、来年度のICT利活用検討部会の取組案について、添付の資料により以下のとおり説明がありました。
仮称だが「データ利活用のための共通ルール検討事業」としており、滋賀県からのデータ利活用を進める取組としての今年度負担金を活用して取り組みたいと考えている。
この事業では、これまでの滋賀データ活用LABの取組の中で出てきた課題等を踏まえ、会員間でのデータ利活用のために必要なルールづくりについて、検討したい。
データ利活用するための課題や、誰が何をやるのか、どういった環境や運用方法が必要なのか、取り扱うデータの種類などといったテーマを想定しており、行政側だけのルールづくりではなく、企業間・官民間のデータ利活用にも焦点を当てたものとして考えている。
スケジュールとしては、令和4年4月からこの事業の準備や検討を開始し、滋賀データ活用LABの活動終了後となる令和5年4月から本格始動していきたい。
中身の議論は次年度以降に行うとして、この取組案の大枠について諮りたい。
この案について、部会員から以下のような意見がありました。
(企業)推進会議の活動をみていると、データ利活用に関してデータの共有方法やプロセスに古い体質があると感じる。その方法から一緒に議論しあえれば、民間企業も参加しやすくなるのではと思う。
(企業)県内で行われている他事業との整合性も踏まえて、この事業のゴールを明確にするとよいと思う。
(企業)ルールメイクだけでなく、データの連携基盤についても将来的に検討することになると思うのだが、基盤構築自体を目的とするのではなく、まずは連携基盤の必要性を検討するという位置づけで認識の相違はないか。
(事務局)そのとおり。
(企業)ICT利活用検討部会としてのテーマ性やゴールを見据えたスケジュールの落とし込みが必要だと思う。
(事務局)来年度はあくまで準備期間として位置付けているので、まずは部会員と一緒にゴールを作っていき、そのうえで一緒にスケジュールに落とし込んでいきたい。
(自治体)推進会議以外で行われているオープンデータの研修でも、込み入ったところから議論が始まっており、データを持つ原課にとっては取っ付きにくいところがある。いわゆる初心者のような人でも参加しやすいような工夫をお願いしたい。
以上の意見を踏まえて、事業案についてもう少し目的を付記する形でアップデートすることとし、来年度の事業計画案に反映することとなりました。